懲戒処分

懲戒請求の前に使える2つの窓口|市民窓口と紛議調停の使い分け

弁護士マップ編集部
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4分で読める

弁護士とのトラブルで相談を受けていると、目的と手段が食い違っているケースによく出会います。

「預けたお金を返してほしい」という人が懲戒請求を検討していたり、「態度に納得がいかない」という人が訴訟を考えていたり。制度にはそれぞれ向き不向きがあり、選び間違えると時間だけが過ぎます。

弁護士会には、懲戒請求以外にも二つの窓口が用意されています。

市民窓口——まず話を聞いてもらう場所

各弁護士会には、弁護士の活動に関する苦情などを受け付ける「市民窓口」が設けられています。日弁連も、弁護士の活動に納得できない場合には、その弁護士が所属する弁護士会の市民窓口に相談するよう案内しています。

ここは処分を決める場所でも、紛争を裁く場所でもありません。何が起きているのかを聞き取り、状況に応じてどの手続が使えるのかを案内する入口です。

この段階の価値は、自分の不満がどの制度に対応するのかを整理できることにあります。「連絡が取れない」という悩みが、事件処理の遅れの問題なのか、報酬の問題なのか、規律違反として扱われる話なのか。当事者からは切り分けにくい部分を、外から見てもらえます。

費用はかからず、いきなり重い手続に進む必要もありません。何から手をつければよいか分からない段階であれば、ここから始めるのが自然です。

紛議調停——お金と条件を話し合う場所

弁護士法41条は「弁護士会は、弁護士の職務又は弁護士法人の業務に関する紛議につき、弁護士、弁護士法人又は当事者その他関係人の請求により調停をすることができる」と定めています。これが紛議調停です。

全国の弁護士会には紛議調停委員会が設置されており、その弁護士が所属する弁護士会に申立てをすることができます。

扱われるのは、報酬をめぐる争い、預り金の精算、委任契約の解消にともなう清算といった、当事者間の紛争です。弁護士会が間に入り、双方の言い分を聞いて解決の道を探ります。

懲戒請求との最大の違いは、目的です。

懲戒請求紛議調停
目的規律違反に対する制裁当事者間の紛争の解決
結果戒告・業務停止・退会命令・除名話し合いによる合意
お金は戻るか処分によって金銭が戻ることはない返還や減額の合意に至ることがある
相手の関与説明を求められる立場話し合いの当事者

「お金を取り戻したい」という目的であれば、懲戒請求ではなく紛議調停のほうが目的に近い制度です。逆に、金銭の問題ではなく、規律に反する行為として扱ってほしいという場合は懲戒請求になります。

もっとも、紛議調停は話し合いの制度ですから、相手が応じない、条件が折り合わないという理由でまとまらないこともあります。その場合は、裁判所での手続を検討することになります。

目的から手段を選ぶ

整理すると、次のような対応関係になります。

  • 何が起きているのか整理したい → 市民窓口
  • お金を返してほしい・減額してほしい → 紛議調停、まとまらなければ訴訟等
  • 規律違反として扱ってほしい → 懲戒請求
  • 預り金が横領された → 損害賠償や刑事手続に加え、依頼者見舞金制度の対象になり得る
  • 事件を先に進めたい → 新しい依頼先を探す

複数を並行して使うこともできます。紛議調停を申し立てながら懲戒請求も行う、という選択が禁じられているわけではありません。ただし、いずれも一定の時間と労力を要します。何を最優先で取り戻したいのかを決めてから着手するほうが、消耗を抑えられます。

動く前に、事件そのものを守る

どの窓口を使うにしても、進行中の事件があるなら、そちらの安全を先に確保してください。

期限のある手続が控えていないか。書類や証拠の原本は手元にあるか。裁判所に係属している事件であれば、次の期日はいつか。ここが空白のまま手続だけが進むと、本来守りたかった権利のほうを失いかねません。

新しい依頼先を探す必要があるなら、弁護士を検索して先に相談の予約だけでも入れておくと、判断の選択肢を持ったまま動けます。費用の見通しが不安であれば、費用相場で一般的な構造を確認しておくと、相談の場で確認すべき点が明確になります。

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