借金・債務整理

債務整理すると信用情報はどうなる?いわゆるブラックリストの実際

弁護士マップ編集部
6分で読める

最初に、多くの人が誤解している事実からお伝えします。「ブラックリスト」という名前の名簿は、この世に存在しません。

金融機関が共有しているのは、信用情報機関に登録された「事故情報(異動情報)」です。債務整理をすると、この事故情報が一定期間登録され、その間は新たな借入れやクレジットカードの作成が難しくなる。これが俗に「ブラックリストに載る」と呼ばれている状態の正体です。

名簿ではなく「記録」だと分かると、見え方が変わります。記録には登録される条件があり、消えるタイミングがあり、そして影響が及ぶ範囲にも限りがあります。この記事では、その全体像を法律知識ゼロの方に向けて整理します。

信用情報機関は3つある

日本には、信用情報を管理する機関が3つあります。

機関主な加盟先
CICクレジットカード会社・信販会社
JICC(日本信用情報機構)消費者金融・カード会社
KSC(全国銀行個人信用情報センター)銀行・信用金庫など

3機関は互いに一部の情報を交流させているため、「消費者金融の事故情報だから銀行にはバレない」とは考えないほうが無難です。逆に言えば、登録内容や登録期間は機関ごとにルールが異なるため、「自分の情報が今どうなっているか」は開示請求で確かめるのが確実です(後述します)。

債務整理の種類ごとに登録のされ方が違う

ひとくちに債務整理といっても、信用情報への影響は手続きによって差があります。

  • 任意整理: 弁護士が債権者と交渉して返済条件を変える手続きです。「債務整理をした」という情報や、それに先立つ延滞・代位弁済の情報が登録されます。完済などから数年間(一般に5年程度が目安とされます)残ると言われています
  • 個人再生: 裁判所を通じて借金を大幅に減額する手続きです。官報に氏名が掲載され、信用情報にも登録されます
  • 自己破産: 借金の支払義務を免除してもらう手続きです。こちらも官報掲載と信用情報登録があり、銀行系のKSCでは他の手続きより登録期間が長めに設定されていると言われています

登録期間は「手続きした日から」ではなく「完済や手続き終了から」数えるケースが多い点にも注意が必要です。正確な起算点や期間は機関の規定と個別の事情によるため、断定はできません。気になる場合は、依頼を検討している弁護士に自分のケースでの見通しを聞いてみてください。弁護士を検索から借金・債務整理の取扱いがある弁護士を地域で探せます。

登録期間中、実際にできなくなること

事故情報が登録されている間、現実的に影響が出やすいのは次のような場面です。

  • クレジットカードの新規作成・更新(更新時の審査で止まることがあります)
  • 住宅ローン・自動車ローン・カードローンなどの新規借入れ
  • スマートフォン端末の分割払い(端末の分割購入は割賦契約なので審査対象です)
  • 賃貸契約のうち、信販系の家賃保証会社を使う物件
  • 他人の借金の保証人になること

意外な盲点はスマホの分割払いです。毎月の通信料と一緒に払っているので借金という意識が薄いのですが、端末代の分割は立派な割賦契約です。債務整理後に機種変更する場合は、一括払いか安価な端末を選ぶ工夫が要ります。

逆に、影響しないこと(よくある誤解)

不安のあまり、実際には起きないことまで恐れている相談者は少なくありません。次のことは、信用情報とは無関係です。

  • 戸籍や住民票に載る: 載りません。家族の戸籍にも影響しません
  • 選挙権がなくなる: なくなりません
  • 年金や生活保護が受けられなくなる: 信用情報とは別の制度です
  • 就職で必ず不利になる: 一般企業が個人の信用情報を照会することは原則できません。ただし貸金業など一部の資格・職種では破産手続き中に制限が生じる場合があります
  • 家族がローンを組めなくなる: 信用情報は個人単位です。ただし、あなた自身が家族のローンの保証人になることは難しくなります

「家族に迷惑がかかるから債務整理できない」と思い込み、返せない借金を放置して延滞を重ねるほうが、結果として信用情報上も生活上もダメージが大きくなりがちです。

自分の信用情報は自分で確認できる

3機関とも、本人による開示請求の制度があります。スマホやパソコンからの手続きに対応している機関もあり、手数料は1機関あたり数百円〜千円程度です。

開示請求が役に立つ場面は、たとえば次のようなときです。

  • 債務整理からかなり年数が経ち、事故情報が消えたか確かめたいとき
  • 身に覚えのない登録がないか確認したいとき
  • 完済後にローンを申し込む前の事前チェック

なお、事故情報が消えた直後は、その金融機関側に取引履歴(社内情報)が残っていることがあり、過去に迷惑をかけた会社での審査は通りにくい場合があると言われています。新規の申込先を変えるだけで状況が変わることもあります。

債務整理をためらう前に考えてほしいこと

「ブラックリストが怖いから債務整理しない」という判断には、一つ見落としがあります。すでに返済を延滞しているなら、その延滞情報自体が信用情報に登録されている可能性が高いのです。つまり、債務整理を避けても信用情報はすでに傷ついており、借金だけが残り続けるという状態になりかねません。

一方で、次のような場合は債務整理を急がない選択もあり得ます。

  • ボーナスや退職金など、近い将来に確実な収入があり完済の目処が立つ
  • 借入れが少額で、家計の見直しだけで返済できる
  • 過払い金の可能性があり、まずその調査を先行させたい

どちらに転ぶかの判断材料を集めるためにも、無料相談を活用する価値はあります。費用面の目安は費用相場で確認できますし、依頼前に弁護士の処分歴を懲戒処分データベースで確かめておくと、より安心して相談に臨めます。

この記事の要点

  • ブラックリストという名簿はなく、実体は信用情報機関の事故情報
  • 登録期間は手続きの種類と機関により異なり、一般に数年単位
  • 影響はローン・カード・分割払い・保証人など「信用取引」に限られる
  • 戸籍・選挙権・年金・家族の信用情報には影響しない
  • 自分の登録状況は開示請求で確認できる
  • 延滞を放置すればどのみち事故情報は登録される。怖がって先送りするより、状況を整理して選択肢を知るほうが早い

信用情報は、いわば「数年間の不便」です。返せない借金を抱え続ける生活と、数年間の不便を経て再スタートする生活。どちらが自分と家族のためになるか、正確な情報をもとに比べてみてください。

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