相談準備

法テラスとは——利用条件・対応範囲・弁護士マップとの関係

弁護士マップ編集部
5分で読める

「お金がないと弁護士に頼めない」は本当か

弁護士に依頼するには費用がかかる。着手金20〜30万、報酬金10〜30万、実費数万円——合計で50〜100万円という事案は珍しくない。

「お金がないから弁護士に頼めない」と諦めている人は実は多い。しかし、所得が一定以下ならほぼ無料で弁護士に依頼できる仕組みがある。法テラスだ。

2006年に開設された日本司法支援センターの愛称で、国が運営する法律支援機関だ。年間約30万件の相談を扱っている(法テラス公表数値)。仕組みを知らないだけで利用できないのはもったいない。

法テラスの3つのサービス

法テラスが提供する主要なサービスは大きく3つある。

1. 情報提供

法律問題に関する一般的な情報提供。電話・対面・メールで無料で利用できる。

  • 「自分のケースはどんな制度を使えるか」
  • 「どこに相談すべきか」
  • 「必要な手続きの概要」

所得制限なしで誰でも利用できる。法律相談ではなく、あくまで一般情報の提供だ。

2. 民事法律扶助

民事案件(離婚、相続、債務整理、労働問題など)について、所得が一定以下の人に対する法律支援。

#### 提供内容

  • 無料法律相談: 1回30分まで、同一事件で3回まで無料
  • 弁護士費用の立替: 着手金・実費を法テラスが立替え、依頼者は月5,000〜10,000円から分割返済

#### 利用条件

  • 月収・資産が法テラスの基準以下
  • 勝訴の見込みがゼロでない
  • 民事法律扶助の趣旨に適する

所得基準は地域・家族構成により異なるが、目安として:

  • 単身者: 月収約20万円以下
  • 4人家族: 月収約30万円以下

(具体的な数字は法テラス公式サイトで最新版を確認)

3. 国選弁護人(刑事事件)

刑事事件で弁護人を依頼できない被疑者・被告人に、国費で弁護人を付ける制度。法テラスが対応する弁護士を選任する。

所得制限はあるが、無罪推定の原則から比較的緩やかだ。

法テラスと私的弁護士の違い

法テラスを利用する場合と、自分で弁護士を選んで依頼する場合では、いくつかの違いがある。

比較項目法テラス自分で選ぶ
弁護士の選択法テラスが選任自由に選べる
費用立替後の分割返済着手金一括
専門性一般的な対応専門家を選べる
対応速度手続きあり即依頼可能
所得制限ありなし

法テラスの利点

  • 費用が大幅に抑えられる: 月5,000円から払えるので、初期負担が小さい
  • 法テラスのスクリーニングを受けている弁護士: 一定の信頼性が担保
  • 窓口が分かりやすい: 全国に拠点があり、相談先で迷わない

法テラスの制約

  • 弁護士を選べない: 担当者は法テラスが決める。相性が悪い可能性
  • 対応分野が限定的: 商業的事案や複雑な企業法務などは対象外
  • 手続きに時間がかかる: 利用申請から弁護士面談まで数週間

どんなケースで法テラスを使うべきか

法テラスが向いているケース

  • 所得が一定以下
  • 急ぎでない一般的な案件(離婚、相続、消費者問題など)
  • 弁護士費用の捻出が困難
  • 初めての法律相談で、まず話を聞きたい

自分で弁護士を選ぶ方が良いケース

  • 所得が法テラス基準を超える
  • 特定の専門分野(医療過誤、知財、国際取引など)の知見が必要
  • 緊急性が高い(明日が裁判期日など)
  • 信頼関係のある弁護士に頼みたい
  • 大規模な企業法務

法テラス利用後、弁護士マップとどう関係するか

弁護士マップは、自分で弁護士を選ぶときの情報源だ。法テラス利用の場合は弁護士をマッチングしてくれるため、弁護士マップの弁護士検索を使う場面は限られる。

ただし、次のような使い方は可能だ。

1. 法テラスを使うべきかの判断材料

弁護士マップで自分の案件分野の費用相場を確認し、自費負担が現実的か判断する。費用が高額になりそうなら法テラス利用を検討する。

2. 法テラス担当弁護士の事前確認

法テラスから紹介された弁護士の氏名が分かったら、弁護士マップで過去の懲戒処分歴を確認できる。法テラス契約弁護士でも、過去に処分歴がある場合は記録される。

3. 法テラス対象外の案件

商業的案件、所得超過のケース、緊急対応など、法テラスが使えない場合は、自分で弁護士を選ぶ必要がある。弁護士マップの弁護士検索が役立つ場面だ。

結論:知っているだけで選択肢が増える

法テラスは「お金がないから弁護士に頼めない」という障壁を大きく下げる仕組みだ。年間30万件の相談実績が示すように、確実に依頼者に届いている制度だ。

ただし、法テラスは万能ではない。所得が高い人、特定分野の専門家が必要な人、緊急対応が必要な人は、自分で弁護士を選ぶ方が適している。

両方の選択肢を知った上で、自分の状況に合った方を選ぶ。それが弁護士アクセスの最適な使い方だ。

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