弁護士選び

弁護士会とは何か?全国52会の役割と弁護士マップが使う公開情報

弁護士マップ編集部
5分で読める

「東京弁護士会」「第一東京弁護士会」「第二東京弁護士会」——なぜ東京だけ3つあるのか

弁護士のプロフィールを見ていて、所属欄に「第二東京弁護士会」と書かれているのに気づいたことはないだろうか。なぜ「弁護士会」ではなく「第二」と付くのか。そもそも弁護士会とは何の組織で、どんな役割を持つのか。

依頼者の多くはこの構造を意識せず弁護士を選ぶ。しかし、弁護士会は単なる業界団体ではない。弁護士の身元を保証し、業務を監督し、必要なら懲戒する公的な役割を担う組織だ。仕組みを理解しておくと、弁護士のプロフィールから読み取れる情報の解像度が一段上がる。

弁護士会は全国に52ある

日本の弁護士会は全国に52会ある。基本的には各都道府県に1つだが、例外がある。

  • 東京: 東京弁護士会/第一東京弁護士会/第二東京弁護士会の3会
  • 北海道: 札幌弁護士会/函館弁護士会/旭川弁護士会/釧路弁護士会の4会
  • その他の道府県: 各1会(44会)

合計で52会。東京の3会並立は歴史的経緯(明治期に分裂と統合を繰り返した結果)によるもので、各会の業務内容に大きな違いはない。所属する弁護士の流派や得意分野の差というより、登録手続き上どの会に入ったかという話に近い。

北海道の4会は単純に面積が広いためで、地裁の管轄に対応する形で分かれている。

弁護士会の3つの役割

弁護士法第31条で定められた弁護士会の機能は、大きく3つに整理できる。

1. 弁護士の登録・管理

弁護士になるには、司法修習を終えた後、いずれかの弁護士会を経由して日本弁護士連合会(日弁連)に登録する必要がある(弁護士法第8条)。登録なしに「弁護士」を名乗ることはできない(弁護士法第74条、違反は2年以下の懲役または300万円以下の罰金)。

登録番号・氏名・所属事務所・連絡先は弁護士会が公開しており、誰でも閲覧できる。弁護士マップが掲載している弁護士48,000名のプロフィールも、この公開情報を一次ソースとしている。

2. 弁護士業務の指導・連絡・監督

弁護士会は所属弁護士の業務が法令・会則・規程に沿って行われているかを監督する。これには研修の実施、相談業務の運営、苦情処理などが含まれる。

依頼者が弁護士の対応に問題を感じたとき、まず相談する先は所属弁護士会の「苦情処理窓口」または「市民窓口」だ。これは依頼者が直接利用できる仕組みで、無料で利用できる。

3. 懲戒処分

これが弁護士会の最も重要な権限だ。弁護士が品位を失うべき非行を行った場合、所属弁護士会が懲戒処分を下す(弁護士法第56条)。処分の種類は戒告・業務停止・退会命令・除名の4種類

日本の他の士業(医師・税理士・行政書士など)では行政が監督処分を行うが、弁護士だけは弁護士会(同業者団体)が処分する。これは弁護士自治の原則と呼ばれ、国家権力からの独立性を担保するための制度設計だ。

依頼者が弁護士会情報を使うべき場面

弁護士会の公開情報は、依頼者にとって「弁護士のプロフィールが本物かを確認する」最も確実な手段だ。具体的には次の場面で活用できる。

弁護士の実在確認

名刺を渡された相手が本当に弁護士か。これは所属弁護士会に登録番号で照会すれば一発で確認できる。各弁護士会のサイトに「弁護士検索」機能があり、登録番号や氏名から検索できる。

弁護士マップでも弁護士検索で氏名から横断的に検索できるが、最終確認は各弁護士会の公式ページで行うのが確実だ。

懲戒処分歴の確認

過去に懲戒処分を受けた弁護士の記録は、官報(処分時)と日弁連の「自由と正義」誌に掲載される。弁護士マップでは官報PDFと弁護士自治を考える会の記録を統合した懲戒処分データベースで約2,000件を公開している。

事務所異動歴の確認

弁護士の所属事務所はキャリアの中で変わる。短期間に複数回事務所を変えている弁護士は、業務スタイルや経営トラブルの履歴がある可能性もある(必ずしも問題とは限らないが、確認する価値はある)。

弁護士会と日弁連の関係

52の単位会の上位組織として、日本弁護士連合会(日弁連) がある。これは全国の弁護士会の連合体で、東京の霞が関にある。日弁連と単位会の役割分担については別記事で詳しく解説しているが、簡単に言えば次のような分業だ。

  • 単位会: 所属弁護士の日常的な指導・監督、地域住民への法律相談、懲戒の第一次処分
  • 日弁連: 全国統一の規程策定、懲戒処分の不服審査、対外的な意見表明、国際活動

結論:弁護士会は「依頼者の防波堤」でもある

弁護士会の存在意義は、弁護士の独立性を守る一方で、依頼者が不利益を被ったときの救済窓口でもある点にある。

弁護士に依頼する前に、その人が本当に弁護士か確認する。依頼後に問題を感じたら、まず所属弁護士会の市民窓口に相談する。これらの行動はすべて、弁護士会という制度があるから可能になっている。

弁護士マップが公開している情報は、その大半が各弁護士会・日弁連・官報という公的ソースに基づいている。一次情報を確認する手段として、本サイトと公式弁護士会サイトを併用するのが最も確実な弁護士選びの方法だ。

弁護士を検索する / 懲戒処分データベースを見る

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