弁護士選び

弁護士を途中で変えたい時の完全マニュアル|解任・変更の手順と注意点

弁護士マップ編集部
7分で読める

弁護士を変えることは依頼者の正当な権利である

弁護士の対応に不満を感じている方は、まず弁護士にひどい対応をされたらも参考にしてほしい。

「離婚の相談で伺い、裁判まで一緒にやって頂きました。ですが途中で何の相談もなく、契約を解消し路頭に迷いました」

これは弁護士マップに投稿された実際の口コミ(星2)だ。弁護士側から一方的に契約を打ち切られたケースだが、逆に依頼者側が弁護士を変えたいと感じることも珍しくない。連絡が取れない、方針に納得できない、信頼関係が崩れた。理由は様々だが、共通するのは「変えていいのかわからない」「変えたら不利になるのでは」という不安だ。

結論から言えば、弁護士を途中で変えることは法律で認められた依頼者の権利だ。民法651条は、委任契約はいつでも、どちらからでも解除できると定めている。弁護士の同意は不要だ。「先生に申し訳ない」「途中で変えたら裁判に悪影響がある」と考える必要はない。

弁護士を変えるべき5つのサイン

すべての不満が弁護士変更の理由になるわけではない。しかし、以下のいずれかに該当する場合は、変更を真剣に検討すべきだ。

1. 連絡が1か月以上取れない

弁護士が依頼者からの連絡に1か月以上応答しないのは、弁護士職務基本規程が求める「依頼者との意思疎通」(第36条)に反する可能性がある。事件の進捗に関する報告義務も規定されている。

2. 方針の説明がない、または一方的に決められる

弁護士は依頼者に対して事件の見通し、処理方針、費用について説明する義務がある(弁護士職務基本規程第29条)。「任せてください」の一言で具体的な説明がないのは危険信号だ。

3. 明らかな怠慢がある

期日に書面を提出していない、相手方への回答が遅れている、裁判所からの連絡に対応していないといったケースは、依頼者の利益を直接的に損なう。

4. 費用の説明と実態が乖離している

当初の見積もりと請求額が大きく異なり、その理由の説明がない。追加費用が事前の同意なく発生している。

5. 信頼関係が回復不能な状態にある

弁護士との関係は信頼が基盤だ。嘘をつかれた、情報を隠された、高圧的な態度を取られた。こうした状況で良い結果を期待するのは困難だ。

弁護士を変える具体的手順

ステップ1:新しい弁護士を先に探す

現在の弁護士を解任する前に、次の弁護士の目処を立てておくことが最も重要だ。特に裁判が進行中の場合、弁護士が不在の期間が生じると期日対応に支障をきたす可能性がある。

弁護士検索で、同じ分野を専門とする弁護士を探す。初回相談の際に「現在別の弁護士に依頼中だが変更を検討している」と伝えれば、引継ぎの可否や追加費用の見通しも確認できる。この段階で複数の弁護士に相談することを推奨する。

ステップ2:現在の弁護士に解任を通知する

解任の通知は書面(内容証明郵便またはメール)で行うのが望ましい。口頭での通知も法的には有効だが、後日のトラブル防止のために記録を残すべきだ。

通知に含めるべき内容は以下の通り。

  • 委任契約を解除する旨の明確な意思表示
  • 解除日(通知到達日をもって解除とするのが一般的)
  • 預かり書類・証拠の返還請求
  • 未精算の費用がある場合はその確認

弁護士は解任の理由を聞く権利があるが、依頼者に詳細な理由を説明する義務はない。「方針の相違」で十分だ。

ステップ3:書類と預り金の返還を受ける

弁護士は、委任終了時に預かっている書類、証拠、資料を返還する義務がある。また、預り金(事件処理のために預けた金銭)がある場合は、精算の上で返還されなければならない。

返還を受けるべき主な書類は以下だ。

  • 訴状、答弁書、準備書面の控え
  • 証拠として提出した原本
  • 相手方から受領した書面の写し
  • 裁判所からの通知書類
  • 戸籍謄本、登記簿謄本等の原本

これらの返還が遅れたり拒否されたりした場合は、弁護士会に苦情を申し立てることができる。

ステップ4:新しい弁護士に引継ぎを依頼する

新しい弁護士が決まったら、引継ぎの手配を行う。理想的には、新旧の弁護士間で直接やり取りが行われるのがスムーズだが、前任弁護士が協力的でない場合は、依頼者を介した書類の受け渡しでも対応できる。

裁判が進行中の場合、新しい弁護士は裁判所に「訴訟代理人の変更届」を提出する。この手続きは新しい弁護士が行うため、依頼者が直接裁判所とやり取りする必要はない。

着手金は返ってくるのか

これは最も多い質問のひとつだ。結論から言えば、原則として着手金の全額返金は困難だ。ただし、一部返還が認められるケースはある。

返金が認められやすいケース

  • 契約直後でほとんど業務に着手していない段階での解約
  • 弁護士側に明らかな債務不履行(連絡不能、書面未提出等)がある場合
  • 契約書に途中解約時の返金条項が明記されている場合

返金が難しいケース

  • すでに書面の作成、相手方との交渉、裁判期日への出席等が行われた後
  • 依頼者側の都合による解約で、弁護士に落ち度がない場合

着手金の返還について合意できない場合は、弁護士会の紛議調停制度を利用できる。申立費用は無料で、弁護士法41条に基づく公的な制度だ。

なお、着手金とは別に成功報酬が発生している場合、既に成果が出ている部分(例えば、仮処分の決定を得た等)については報酬支払義務が生じる可能性がある。

弁護士変更のコストとリスクを正しく理解する

弁護士を変えることにはコストが伴う。それを理解した上で判断することが重要だ。

金銭的コスト

  • 新しい弁護士への着手金(前任の着手金とは別に必要)
  • 初回相談料(新しい弁護士との面談費用)
  • 前任弁護士の着手金は大半のケースで戻らない

時間的コスト

  • 新しい弁護士が事件内容を把握するまでの期間(通常2〜4週間)
  • 引継ぎがスムーズでない場合、さらに遅延する可能性

リスク

  • 裁判の期日が迫っている場合、準備が間に合わない可能性
  • 前任弁護士が書類返還に協力的でない場合の対応

これらのコストを考慮しても、信頼できない弁護士に依頼し続けるリスクの方が大きい場合がある。方針の不一致や怠慢は、事件の結果そのものに影響する。短期的なコストと長期的な損失を天秤にかけて判断すべきだ。

変更後の弁護士を探す際のポイント

同じ失敗を繰り返さないために、次の弁護士選びでは以下を重視すべきだ。

途中受任の経験を確認する

すべての弁護士が途中からの引継ぎに慣れているわけではない。途中受任の経験がある弁護士の方が、引継ぎの段取りがスムーズだ。

弁護士の探し方全般については失敗しない弁護士の選び方を参照。

あなたの体験が、次の人を救う

弁護士を変えた経験は、当事者にとっては辛い体験だ。しかし、その経験を共有することには大きな価値がある。

「途中で弁護士を変えたが、結果的に良い方向に進んだ」という体験談は、同じ状況で悩んでいる人の背中を押す。逆に、「変えたことで余計にこじれた」という経験も、判断材料として貴重だ。

弁護士マップでは、48,136名(2026年4月時点)の弁護士に対する口コミを受け付けている。弁護士を変えた理由、変更後の経過、かかった費用。こうした具体的な情報が、閉ざされた法律業界の透明性を少しずつ高めていく。

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