懲戒処分

弁護士の懲戒処分データベース完全ガイド — 2,176件から見える実態

弁護士マップ編集部
6分で読める

依頼した弁護士が、過去に懲戒処分を受けていたら

ほとんどの依頼者は、弁護士に依頼する前にその弁護士の懲戒歴を調べない。医師を選ぶときに医療事故の有無を調べないのと同じだ。しかし、弁護士の懲戒処分は公的な記録として存在し、誰でもアクセスできる。問題は、その情報にたどり着く手段が限られていたことにある。

弁護士マップは現在、2,176件の懲戒処分データを公開している。これは日本で最大級の弁護士懲戒データベースだ。本稿では、この2,176件のデータから見える弁護士懲戒の実態を解説し、依頼前に懲戒歴を確認する具体的な方法を紹介する。

懲戒処分の4段階 — 戒告から除名まで

弁護士の懲戒処分は弁護士法第57条に基づき、4段階に分かれている。段階が上がるほど処分は重くなる。

戒告(かいこく)

最も軽い処分。口頭または書面で注意を受けるもので、弁護士資格や業務に直接的な制限はない。ただし、戒告を受けた事実は官報に掲載され、弁護士会のウェブサイトでも一定期間公表される。「軽い処分」とはいえ、弁護士としての信用に傷がつくことに変わりはない。

業務停止

一定期間(2年以内)、弁護士業務を行うことが禁止される。業務停止期間中は受任中の事件をすべて他の弁護士に引き継がなければならず、依頼者に直接的な影響が出る。業務停止は懲戒処分の中で最も件数が多い類型だ。

退会命令

弁護士会からの退会を命じられる処分。退会命令を受けた弁護士は弁護士資格を失い、弁護士として活動できなくなる。ただし、一定期間後に再登録を申請する道は残されている。

除名

最も重い処分。弁護士としての資格を剥奪され、3年間は再登録ができない。除名処分は横領や重大な犯罪行為など、弁護士としての適格性そのものが否定される場合に下される。

2,176件のデータが示す懲戒の実態

弁護士マップの懲戒処分データベースに収録された2,176件のデータからは、依頼者が知っておくべき重要なパターンが浮かび上がる。

事件放置 — 最も多い懲戒理由のひとつ

依頼者から案件を受任し、着手金を受け取りながら、実質的な業務を行わないケース。裁判所への書面提出を怠る、期日に出頭しない、依頼者への連絡を絶つといった行為が典型だ。

実際の処分事例を見てみよう。

打ち合わせの約束を度々反古にし、第1審の裁判開始から判決まで放置した。

この弁護士には業務停止処分が下された。依頼者は裁判で適切な主張・立証がなされないまま不利な判決を受け、弁護士の怠慢がなければ得られたはずの結果を失った。事件放置は依頼者に取り返しのつかない損害を与える、最も悪質な懲戒事由のひとつだ。

預り金の横領 — 信頼の完全な裏切り

弁護士は業務上、依頼者の金銭を預かることがある。示談金、和解金、遺産分割の分配金など、その金額は数百万円から数千万円に及ぶこともある。この預り金を私的に流用するケースが、懲戒処分データに繰り返し現れる。

キャッシュカードを預かり預金口座から引き出した。

この事例では退会命令が下されている。預り金の横領は弁護士に対する信頼の根幹を破壊する行為であり、最も重い処分の対象となる。依頼者が気づいたときには資金が回収不能になっていることも多い。

品位を損なう行為 — 弁護士としての適格性

懲戒処分の対象は業務上の不正行為だけではない。弁護士としての品位を損なう行為も処分対象になる。

午前0時30分頃酒気帯び運転し外灯に衝突した。

この弁護士は業務停止処分を受けた。弁護士法第56条は「品位を失うべき非行」を懲戒事由として定めており、私生活上の行為であっても弁護士の品位を損なうと判断されれば処分の対象となる。

依頼前に懲戒歴を確認する手順

弁護士マップの懲戒処分データベースで懲戒歴を確認する手順は簡単だ。

  • 懲戒処分データベースにアクセスする
  • 弁護士名、所属弁護士会、処分の種類などで検索する
  • 該当する処分がある場合、処分の種類、処分日、処分理由の概要が表示される

検索で該当がなければ、その弁護士が過去に懲戒処分を受けた記録はデータベース上には存在しない。ただし、データベースの収録範囲外の処分が存在する可能性はゼロではないため、日本弁護士連合会の「弁護士懲戒処分検索」も併せて確認することを推奨する。

また、弁護士検索で個別の弁護士プロフィールを表示した際にも、懲戒処分の有無が確認できる。弁護士を検索して口コミを読み、懲戒歴を確認するという一連の作業がひとつのプラットフォーム上で完結する。

懲戒処分を受けた弁護士に依頼してしまった場合

すでに懲戒歴のある弁護士に依頼してしまった場合でも、慌てる必要はない。以下の手順で対処できる。

まず事実を確認する:懲戒処分の種類と理由を正確に把握する。戒告1回で理由が軽微なものであれば、現在の業務に問題がない可能性もある。一方、業務停止や預り金に関する処分がある場合は慎重に対応すべきだ。

弁護士に直接確認する:懲戒歴について弁護士本人に尋ねることは、依頼者の正当な権利だ。その際の弁護士の反応(誠実に説明するか、はぐらかすか)も判断材料になる。

必要に応じて弁護士を変更する:懲戒処分の内容が深刻で、信頼関係を維持できないと判断した場合は、弁護士を変更する権利がある。委任契約はいつでも解除できる。

金銭を預けている場合は速やかに返還を求める:預り金がある場合は、書面で速やかに返還を求める。返還に応じない場合は弁護士会に相談する。

懲戒データの公開が持つ意味

48,136名の弁護士のうち、懲戒処分を受けた弁護士は全体の数パーセントに過ぎない。大多数の弁護士は誠実に業務を遂行している。しかし、その「数パーセント」に当たってしまった依頼者の人生への影響は計り知れない。

懲戒データの公開は、問題のある弁護士を避けるためだけにあるのではない。弁護士業界全体に対する透明性の確保と、依頼者が情報に基づいた選択をする権利の保障だ。

懲戒処分データベースを確認する →

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