消費者被害

点検商法・悪質リフォームの被害|契約後でもできること

弁護士マップ編集部
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久しぶりに実家に帰ると、屋根の工事が終わっていた。「近所で工事をしていた業者さんが、無料で点検してくれてね。瓦がずれていて、このままだと雨漏りすると言われたから」——親が見せてくれた契約書には、相場感のつかめない高額な金額。点検時の写真を見せられたというが、それが本当に実家の屋根なのかも分からない。

点検商法は、このように家族が後から気づくことの多い被害です。「無料点検」を入口に、「今すぐ直さないと大変なことになる」と不安をあおって高額な契約を結ばせる手口で、屋根、床下、給湯器、排水管、シロアリなど対象はさまざまです。そして家族が気づいたとき、多くの人がこう考えて諦めます。「もう契約してしまったし、工事も始まっているから手遅れだ」と。

結論から言うと、手遅れとは限りません。契約後、着工後、さらには工事完了後でも使える手段が、法律には用意されています。

手段1:クーリングオフ——工事が終わっていても使える場合がある

業者が自宅に来て契約した場合は訪問販売に当たり、法定書面を受け取った日から8日間はクーリングオフができます。ここで知っておきたいのは次の3点です。

  • 工事というサービス(役務)でも対象です。すでに工事が始まっていても、期間内ならクーリングオフでき、業者は工事済み部分の対価を請求できず、元に戻す(原状回復)ことも無償で求められるのが原則です。
  • 書面に不備があれば、8日間は進行していません。契約書面に法定の記載事項(クーリングオフの説明など)が欠けている例は、悪質業者では珍しくありません。契約から時間が経っていても諦めずに書面を確認してください。
  • 「点検を頼んだのは自分だから訪問販売ではない」とは限りません。頼んだのは無料点検であって工事の勧誘ではない場合、不意打ち性は失われていないと評価される余地があります。

手段2:消費者契約法による取消し——うそと不安あおりに対抗する

「瓦がずれている」「柱がシロアリにやられている」という点検結果自体がうそだった場合、不実告知として契約を取り消せる可能性があります。また、事実であっても「今日契約しないと大変なことになる」といった告知で過大な不安をあおられた場合も、取消しの対象になり得ます。

このとき効いてくるのが第三者の点検です。別の業者や、自治体によっては住宅相談窓口で、指摘された不具合が実在したのかを確認できれば、有力な証拠になります。

手段3:過量販売の解除——同じ工事を何度も契約させられていたら

訪問販売で、通常必要とされる分量を著しく超える契約をさせられた場合、契約から1年以内であれば解除できる制度があります。点検商法の被害者は同じ業者や仲間の業者から繰り返し契約させられていることが多く(カモリストの共有)、「屋根工事のあとに床下、次は外壁」と続いていたら、この制度の検討対象です。

家族が気づいたとき、まずやること

  • 本人を責めない。「なんで契約したの」と責めると、本人は口を閉ざし、次の被害が見えなくなります。悪質業者は高齢者の「家族に心配をかけたくない」心理を利用します。
  • 書類を全部集める:契約書、見積書、点検時の写真、領収書、パンフレット、名刺。書面の交付日がクーリングオフの起算点です。
  • 通帳の履歴を確認する:他にも同種の支払いがないか。過去の被害が見つかることは珍しくありません。
  • 消費生活センター(188)に相談する:点検商法は典型的な相談類型で、あっせんの実績も蓄積されています。本人でなく家族からの相談も可能です。
  • 支払いがローンの場合はクレジット会社にも通知する:契約を争う場合、信販会社への支払停止の抗弁が使える場合があります。

弁護士に相談すべきライン

金額が大きい(数十万〜数百万円)、業者が解除に応じず居直る、すでに全額支払済みで返金交渉が必要、本人の判断能力に不安があり成年後見等も視野に入る——このあたりが弁護士に相談する目安です。消費者被害や高齢者の財産被害の取扱いが多い弁護士だと、業者側の典型的な反論への対処も含めて進めやすいでしょう。弁護士を検索で地域から探せます。費用は事務所により異なるため、費用相場を参考に、相談時に見積りを確認してください。

なお、判断能力が低下した親の被害が繰り返される場合、個別の契約を潰すだけでは根本解決になりません。日常的な見守りの仕組み(施錠やインターホン対応のルール化、成年後見制度や日常生活自立支援事業の利用)まで含めて考えるのが、この類型の特徴です。

覚えておいてほしいこと

点検商法は「契約させたら勝ち」と業者が思っている商売です。しかし法律の設計は逆で、訪問販売の消費者には強い保護が与えられています。契約書にサインした事実よりも、そこに至る経緯——無料点検という入口、不安をあおる説明、その場で契約を迫る手口——のほうが、法的には重い意味を持ちます。「契約したから終わり」ではなく「契約の経緯から始まる」。この視点の転換が、被害回復の出発点です。

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