消費者被害

クーリングオフの基本|使える取引・使えない取引

弁護士マップ編集部
5分で読める

意外に思われるかもしれませんが、Amazonや楽天などのネット通販で買った商品に、クーリングオフは使えません。

「一定期間内なら無条件で返品できる制度」として広く知られるクーリングオフですが、実は「どんな買い物にも使える万能の返品制度」ではありません。自分から店やサイトに出向いて買う場合は冷静に判断できるはず、という前提のもと、不意打ちの勧誘や複雑な契約など「冷静な判断が難しい場面」に限って認められた制度だからです。

この「使える・使えない」の線引きを誤解していると、本当は使えたのに期間を逃したり、逆に使えない場面で主張して話がこじれたりします。この記事で正確な地図を持ってください。

クーリングオフが使える取引と期間

特定商取引法などで定められた主な対象は次のとおりです。

取引の種類具体例期間
訪問販売自宅への押し売り、路上で呼び止められて店に連れて行かれた(キャッチセールス)8日間
電話勧誘販売業者からの電話で勧誘されて契約8日間
特定継続的役務提供エステ、美容医療、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービス8日間
訪問購入業者が自宅に来て貴金属などを買い取る「押し買い」8日間
連鎖販売取引いわゆるマルチ商法20日間
業務提供誘引販売取引「仕事を紹介するので教材・機材を買って」という内職・モニター商法20日間

このほか、宅地建物や保険など、個別の法律でクーリングオフが定められている契約もあります。

使えない主な取引

  • 通信販売:ネット通販・カタログ通販・テレビショッピング。返品できるかどうかは各社の返品特約次第です。特約の表示がない場合は商品到着から8日間は送料自己負担で返品できるというルールはありますが、これはクーリングオフとは別物です。
  • 自分から店舗に出向いた買い物:不意打ち性がないためです。
  • 現金取引で総額3,000円未満の訪問販売など
  • 自動車の購入など、適用除外とされている商品・役務
  • 営業のための契約(事業者間契約):ただし実質的に個人への勧誘と変わらない場合は争いになることがあります

「訪問販売だと思っていたら実は対象外だった」というより、「通販だと思い込んでいたら電話勧誘が挟まっていて実は対象だった」という見落としのほうが多い印象です。契約に至る経緯を最初から思い出してみてください。

期間の数え方——起算日を間違えない

期間は「契約した日」ではなく、法定の契約書面(またはそれに代わる電磁的記録)を受け取った日を1日目として数えます。ここに2つの重要な帰結があります。

  • 書面を受け取っていない、または記載に不備がある場合、期間はそもそも進行しません。契約から何か月経っていてもクーリングオフできる可能性があります。
  • 「もう8日過ぎたから無理」と自己判断するのは早い、ということです。

また、業者が「これはクーリングオフできない契約です」とうそを言ったり、脅したりして妨害した場合も、期間は延長されます。

通知のやり方——書き方の例つき

クーリングオフは、期間内に発信すれば効力が生じます(相手に届いた日ではありません)。口頭ではなく、証拠が残る方法で行います。

  • ハガキの場合:両面をコピーしてから、特定記録郵便や簡易書留で送ります。
  • 書く内容の例:「契約年月日」「商品名・サービス名」「契約金額」「販売会社名・担当者名」を挙げたうえで、「上記契約を解除します。支払った代金の返金と商品の引き取りを求めます」と書き、日付・自分の住所氏名を記載します。理由を書く必要はありません。
  • クレジット契約を組んだ場合は、販売会社とクレジット会社の両方に通知します。
  • 法改正により、メールなどの電磁的方法での通知も可能になっています。送信記録を必ず保存してください。

クーリングオフが成立すると、支払済みの代金は全額返金され、商品の引き取り費用は業者負担、違約金や損害賠償の請求もできない——というのが法律の効果です。

期間を過ぎていても、打つ手がなくなるわけではない

クーリングオフはあくまで選択肢の一つです。期間経過後でも、うその説明があれば消費者契約法による取消し、必要量を著しく超える契約なら過量販売の解除、中途解約権のある契約(エステ等)なら中途解約、と別のルートが残っています。

どのルートが使えるかの判断に迷ったら、まず消費生活センター(局番なしの188)へ。金額が大きい場合や業者が争ってくる場合は、消費者被害の取扱いが多い弁護士に相談してください。弁護士を検索から地域と分野で探せます。費用が気になる場合は先に費用相場に目を通しておくと、相談時の見積りを冷静に受け止められます。

クーリングオフは強力ですが、時間だけが敵です。「使えるかどうか分からない」段階でも、まず今日、書面の受領日を確認することから始めてください。

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